文化祭でジェットコースターをつくりたい!

 

こんにちは。4年前に文化祭でジェットコースターを作った者です。この動画の作者です。

 

近年、いろんなところで情報を得て、後輩たちがたくさん作ってくれるようになり、Youtubeをはじめとして動画サイトにはその模様を上げるものも多くみられるようになりました。

 一方で、このような大きな、しかも人が乗るものをクラスというごく小規模で、技術レベルも十分とは言えない環境で作るというのは相当に危険だということも合わせて理解していなければならず、「やれば成功する」という安易な思い込みで作ると必ず失敗するでしょう。

 多くの動画で、失敗したところは映っていませんが、私の経験も踏まえて言うと、必ずどこかで失敗します。脱線した回数は数え切れません。文化祭当日であっても脱線しました。車輪の疲労もありました。どんどん回らなくなっていったり、途中で車輪が取れたり。

 しかし、それを乗り越えた先に大きな充実感、一体感が生まれるのは確かです。強い意志をもって立ち向かえば、きっと成功できるでしょう。

 

それでは、作り方を紹介したいと思います。

○材料は?金額は?

 材料は、ホームセンターで売っている、「桟木」と呼ばれる4mの木材と、9o、3oのベニヤ板(私たちは安かったOSB合板というものを使用)が主なレールの材料です。

 これを固定する木ねじ(ひと箱じゃ足らないくらい大量に使う)、キャスター(一個当たりの耐荷重は少なくとも25s以上、ゴム製は抵抗が大きいからさけたほうがいい。ナイロン製やポリカーボネート製がおすすめ)、金折(L字型の金具)、丸棒(つかまり棒)です。

 木材をまともに購入しようとすると軽く10万円を超えるような出費になると思います(それだけ大量に使う)。このようなときは、近くの工事現場に赴いて「文化祭の出し物企画で、木材を大量につかい、桟木が大量に必要です。木材を譲ってもらえませんか」と交渉してみましょう。建設現場ではコンクリートを固めることなどに木材が使われています。これは再利用されることもあるでしょうが、そのまま廃棄されることがあります。これを狙うわけです。

 

 このように木材をもらうわけですが、もともとが建築廃材なので、取扱いには十分に注意しましょう。長さが一定ではありません。コンクリートがついていてのこぎりで切れなかもしれません。釘が刺さったままかもしれません。

 このため、レールに使うのは控え、柱など走行に直接かかわらない場所に使うのがよいでしょう。

 

 また、ねじの固定には、電気ドリルが不可欠です。誰か持っている人がいれば借りればいいですが、ない場合でも不可欠ですので、購入しましょう。そう高いものではありません。さらに、選ぶ時には正回転だけでなく逆回転できるような機種を選びましょう(今はほとんどできるのかな)。

 

 このように、材料費の圧縮が、成功できるかどうかの第一歩となることは間違いありません。最後に、表に掲げておきます。

品名

数量

備考

合板9o

2

ゴンドラの車体

合板12o

6

カーブの土台

合板3o

5

カーブの側面

桟木

30

建設廃材が50本程度

接着剤

500L

 

固定キャスター

4

 

ねじ

1000本入りを2

 

紙やすり

5

 

金折

10個程度

 

ナイロン車輪(自在)

4

 

ねじ

2000本入りひと箱

 

4000

 

 

 このような具合で購入していきました(主なもの)

 もちろん、店、買った相場でかかる経費は異なりますが、私たちは材料の合計として25000円零度でした。

 

 

 

○制作思想

 少し小難しい話ですが。

 一番重視しなければいけないのは、何といっても「安全」です。安全なくして楽しさなし。

とはいえ、「安全」というのはそう簡単にできるものではありません。安全と言われていたあの原子力発電所だって、「想定外」の事態を起こして、大きな被害を出しました。

このように考えて見えると、安全とは何なのか、語るときりがありません。

 その視点に立って「絶対の安全はない」と考えてみましょう。こう考えると、「本当の安全に近づくにはどうすればいいか」ということが見えてくるはずです。

 だから、「対策はするけど、万が一、事故が起こったらどうするか」「どうやって保健室に連れて行こうか」「けがの対処はどうするか」などと想像したくないことも想像できるようになります。

 ここからは技術的な話になりますが、設計上の安全思想として有名なものに「フェイルセーフ」という考え方を紹介します。

 「フェイルセーフ」とは、危険なことが起こった時に、自動的に安全なほうへ物事が進むように設計する設計思想のことです。身近なところでも使われていて、例えば電車は、連結が外れるようなときに、何もしなくてもブレーキがかかるようになっていて事故の拡大を防いでいます。

 なかなか難しいですが、これをジェットコースターの設計にも取り入れてみましょう。乗っていて、一番危険なことは「脱線」です。「脱線」して、ゴンドラごと「墜落」してしまうようなことがあれば、確実に骨折しますね。

 そうならないように、脱線した時には必ず止まるような機構にします。具体的には溝にはまるようにして車両にロックをかけることで急停車させるとともに、レールとゴンドラを一体化させ、コースからの逸脱を防ぐようになっています。

 また、効果のほどは検証できませんでしたが、衝突したときに意図的に壊す部分と、凶刃に守る部分を作っておきます。具体的には、側面を壊して、底面と柱を壊さないように強く設計する。衝突時に、その運動エネルギーが、車両の一部の破壊に使われれば、人にかかるエネルギーは必然的に小さくなり、人への被害を軽減できます。

 

 このような設計思想で、以下のジェットコースターを作っていきました。

 

○作り方

 ○直線ユニット

 ・枕木用に、木材を切り出す。

 枕木は80p間隔でどんどん切っていきます。 1本の長さが400pなので5本取れますね。400pのレールで5本使うので、とりあえず4本の木材を切ってください。

 

 

 

 ・枕木とレールをくっつける。

 レールは400pのままの木材を2本使います。まず、レールを2本平行に(レールの幅(内側どうし)55p)並べて、重ねて鉛筆でその交点の位置を書いておきます。400pのレールに5本の枕木が来るようにするので、66.7p間隔(枕木中心間の距離で)で枕木を置いていきます。レールの幅(内側どうし)55pです。左右各10.2pずつはみ出ます。

 そしてねじを一つの交点につき、4本打ち込みます。木材によりますが、最初に下穴をあけておくと木材を割らずに締結できます。このとき、枕木のほうからねじを打つようにします。レール表面はできるだけフラットにしたほうが揺れが少なくなり、脱線の回数も減らすことができます。

 

図解すると以下の通りです。

 

ここまでで、レールと枕木が締結されました。

ここから先は、柱をつけて、案内レールをつける作業です。柱の長さで勾配が決まるわけですが、教室の大きさは大きく違います。

このため、計算シート(エクセル)を作ってあるので、そちらも併せて参照してください。

 

以下では計算シートの使用法も併せて説明していきます。

まず、柱の長さを決定するので「柱の長さ決定」シートを選びます。

まず、長さを計測します。実際にレイアウトが決まってからでないと作業できません。

このとき、水平方向の長さ(床と並行)を測定したら「線路水平方向」に、実際に線路を斜めにおいて測定したならば「線路走行面方向」にその数値をp単位で入れてください。

 そして、スタート時の高さ(床から、p単位)と高低差(その直線でどれだけの高低差がつくのか、p単位)で入力します。

 さらに、枕木間間隔(デフォルトは66.7p)、枕木初期位置(一本目の枕木は勾配の一番上からどの位置にあるのか、p単位)を入力し、本数も入力します。

 

 そして、自動的に計算されます。計算結果「水平方向 距離」は高さが一番低いところからのレールの距離、「切り出し木材位置」は、柱が何pになるのかを示しています。

これをもとに、「最適な配置」シートを選び、合計して元の木材の長さに近い長さになるように組み合わせて、できるだけ無駄なく木材を切り出していきます。

 

ちなみに「勾配」は、1000m行くと何メートル下がるかという「パーミル」で示しています。角度は、勾配の水平面に対する角度を示しています。

すべて三平方の定理から導くことができます。

できた柱は、うまく切れたほうを下にして、その逆側から、15p、34.8pの位置に印をつけておきます。15pのほうは案内路の、34.8pは枕木との締結する目印になります。

 

 

 

そして、柱と枕木を締結します。

 ※柱が長いときがあるので、運ぶ時に支障するかもしれません。現場の皆さんの判断で、運べるかどうか、知恵を絞ってから制作するようにしてください。

 この直線は、最初の、机2つ分の場所から机1+教壇2つの場所を結ぶ線路なので、勾配が113‰位、(6.4°)と、比較的緩く、長さは4mなのが特徴です。

 なので、一番上を机2つ、重ねたものの上に固定、下を手で持っての作業です。大変ですが、みんなで協力して行ってください。

次は、4mのレールを使って実際に組立てていきます。

 斜めのレールに、床に対して垂直な柱を付けるわけですから、接着面は斜めになります。その点に注意して、切り出した際につけた印をもとに、レールと柱を固定していきます。印は、右下に合わせて取り付けてください。(図、参照)ここを早くやってあげると支えている子が、楽で済みます。

 

レールを倒してから、釘(状況によって省略可)と、ねじで固定します。余った枕木で、支えながらやるとやりやすいかと思います。ねじは、1カ所につき2個以上止めます。

 

・片側の柱取り付けが終わったら、案内路(柵)を取り付けます。 ここも印をもとに、取り付けていきます。印は、下に合わせて取り付けてください。(図、参照)ここで設置する高さを間違えると、脱線する原因になるので、慎重に行います。

 

・片側が終わったら、逆もやります。

枕木と柱の接合部には大きな力がかかっていて、ねじが曲がることもありました。このため、補強をすべての接合部に行ってください。L字金具や←のような感じで補強しておくといいと思います。

 

 

このように締結したら、全体としての補強、固定を行います。特に高いものだとグラグラするので、斜めに筋交いを入れることが重要になってきます。また、机を逆さにして、机の脚とレールの柱をラップやひもでぐるぐるに結んでおくとよいです。

 

○カーブの制作

@   ベニヤを2枚合わせる。 → ほぼ190×190の正方形になります。

A   半径186pの円を、ひもと釘を使ったコンパスを作ったうえで描く。

B   線に沿って廃材をボンドでくっつける(32個貼り付けられると思います。)  

C   ボンドがかわいたら裏からねじを打ち込む

D   廃材に沿って、3oのベニヤを切って、曲げながらねじで打ち付けていく。このとき、廃材の内側も外側も行う。

E   曲線の内側も同じようにする…が、ほとんど内側は使わないので省略して構わない。

F   外側を、断面を斜めに切った角材を用意して斜めに補強

 

 

これを、机を並べてその上に設置するわけだが、何もしないと確実に机を傷つける。

下に新聞を敷くとか、滑り止めシートを挟むとか、対策をしてほしい。

 

また、作業が終わったら、2枚のベニヤ板を接合する。短めの角材を2本くらい使って、ゴンドラの車輪が通らないところに打ち付ける。

 

○ゴンドラの制作

★ひとを乗せるので頑丈にしたいです。

材料はベニヤ板(9o)、廃材、走行するための 車輪(2種類8個)

ベニヤ板を60×40  (p)を2枚 (前後の壁)

  80×40  (p) を2枚 (左右の壁)

      60×80(p)    を1枚(床面)

このとき、厚みを考えて、1p、どこかを小さくするといいい。

切り出します。

 

板を組んでいくときは、柱を用意し、それに板をねじで止めることで組んでいきます。ボンドも併せて使いましましょう。

 

側面の車輪は、固定のキャスターを使います。ゴンドラの車輪から35pの高さに中心が来るようにしてキャスターを固定します。このとき、四隅の柱にねじの2つが来るように調節しましょう。また、車内にねじが飛び出ないよう、長さに十分注意します。

 

台枠を作ります。車輪との接合部は、とても力がかかり、ねじが外れるので、取り外しが容易にできるように、ボンドは使わず、ねじのみで固定するのがよいでしょう。

 車輪は、枕木方向の木材に固定します。そして、ねじ穴が緩んで来たら車輪の個所を切り取り、同じ大きさの角材を用意し、車体に固定し、車輪を設置します。

台枠は、以下のように取り付けます。

 

台枠との接合は、作業の容易性を考えて、台枠からねじを打ち込みます。ねじが長すぎると中にいる人を傷つけるので、適切な長さのねじを見つけ、なければねじを切って調節しましょう。大体、台枠の木材の太さ+5oくらが目安になると思います。

 

 補足など

 ブレーキ

 多くの動画でブレーキは人の手で…というのが多く見受けられますが、危険です。

指を挟むことが容易に想像できますね。

 このため、ブレーキを作ります。

 木材と台枠を接触させることで制動力を得る摩擦ブレーキが一番簡単かなと思います。

このように、レールの高さよりも高く、木材をおいておきます。もちろん、ブレーキに入るときすぐに台枠に当たっては衝撃が大きすぎていけないので、斜めに切断し、木材自体もまげて低い位置からスタートさせるようにします。

実際に台枠と木材の距離を測定してから作るといいと思います。ブレーキを赤く塗っているのは、注意を促すためです。大体、手前から3本目のあたりでゴンドラは止まります(重さに大きく左右されますが)

 

脱線防止ガード

 

このように、レールの内側に角材を縦におきます。するとこの内側には車輪がいかなくなるので脱線を阻止できるわけです。ガードの入り口は斜めに切っておいて、衝突しないようにします。

しかし、当たるのは多くの場合、金具なので、当たるとブレーキがかかるのと同じになるので、当てないように、左右が水平になるように、柱の高さを調節するのが一番いいと思われます。カーブの出入り口や、脱線が多発する場所に作りましょう。

 

 

 

大まかな作り方は述べてきましたが、これは一例です。

木材は湿気で曲がったり伸びたり縮んだり、また節があったりして一つ一つ注意して使っていかなければいけません。

「安全」は、不断の努力で作り上げていくものです。作って安心ではなくて、作ってから、実際にどうやって運用していくのかまで考えておかなければいけません。

 

 

 

当日は10人乗ったら、ゴンドラの点検、50人乗ったらレールの点検と、実際に作った人が乗ってみておかしな揺れがないかどうかを確認する作業が必要です。長く使っていると、車輪はボロボロになるし、どこかの接合が外れていることもあります。それが積み重なると事故が起きます。この作業を怠らないでください。

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