伊万里造船所は川南造船所という呼び名が一般的で
他にも川南工業浦ノ崎造船所と呼ばれたり、軍需工場だった時代に
最終兵器人間魚雷を製造されていたとされ最終兵器製造工場跡や
人間魚雷製造所跡と中には呼ぶ人もいた気がする。

自分は学生の頃伊万里造船所が有名廃墟であると知る前に
国道をドライブしていてこの建物前の空地に停めてふらりと入った事がある。
建ててる途中で放棄されたような、解体を途中で取り止めたような
経済的な大人の事情が絡んだ建物だと思った。
それも当ってない事もないだろうが、ここには戦争兵器を製造していたという
戦争遺跡としての歴史価値がある建物だった。

ちなみに人間魚雷回天が製造されていたとよく言われるが
実際そうだったのだろうか、おそらく現時点では裏付け資料等が出ていない。
しかし海龍という、実戦には使用されなかった人間魚雷が
製造されていた事が専門家により立証されたらしい。

長年廃墟として放置され続けた伊万里造船所だが、その理由は
建っている土地が「土砂だから」だと本なりネットなりで読んだ。
しかし土砂の上の建物が壊せない法律でもあるのかとしっくりせず
個人的には解体賛成とか反対以前に大きな疑問になっていた。

そこで伊万里市役所の企画政策課に一度電話で尋ねてみた。
解体を推進している市の人が、解体か保存かで揺れている時期に
「解体になる理由」を尋ねられるのも面白くなさそうではあったが
一番聞きたかった事は答えてくれた。
つまり建物の所有者であれば解体はできると言っていた。
建物は個人の所有だったが、その個人が壊さないか壊せなかったらしい。

これだけ大規模な建物を解体するとなると費用も相当かかるのだろう。
総事業費は2億1千万円と新聞記事では取り上げられている。
建物所有者が放置している事で困っている建物に
4000万円以上の建物買取費用をかける事も書いておく。
それらの財源が必要になり財源調達の為に土砂を公園にする事になった。

土砂を公園にする為に、土砂を国が個人から買い
その土砂を詳細は知らないが法律を整備して土地に変更して
その土地を市が国から買って公園にする。
公園にすることで県から補助をうけて解体費用まで工面出来る事になった。
と誤解もありそうだが自分は認識している。

戦跡として保存する為にはそれこそ莫大に維持費がかかるのは想像がつく。
しかし建物の解体さえできれば土砂を土地にする必要も
この立地で需要を考えれば公園を造る必要もなかっただろう。

いざ解体となると戦争遺産として残そうとする有識者達もいた。
解体を進める側や地域住民からすれば一難去ってまた一難だっただろう。
その反対する側と進める側の話合いがどのようなものか詳細は知らない。
検索した程度で知るには地域住民は治安維持に不安らしい。
あの田舎の数件の隣接している民家にとって迷惑でも
地域住民はそんなに困るものだろうか、と立地的には思ってしまう。
その辺は地域住民でないと理解できないことかもしれない。
実際に何十年と放置されてきたが、次第に探索者の出入りが多くなり
将来的な危険もあって解体に動き出したのだと思う。

廃墟好きのエゴを言っても仕方ない状況なのはたしかだ。
当たり前の事なのに忘れがちなのは、廃墟好きにとって廃墟は美しくても
大勢の人にとって廃墟は汚くて邪魔なイメージなのだ。
廃墟好きはいつも発言力がなく、いつも責められる事もない。
伊万里造船所にも貴重な経験をさせてもらったと思う。

経済的に考えて消去法で解体になるのも分かるが
多方面の記事によると結局地元住民の意思が尊重されての解体決定だったらしい。

(平成23年11月)

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